柊随菜(ヒイラギズイナ)2


柊随菜(ヒイラギズイナ)はユキノシタ科ズイナ属の常緑高木である。
南西諸島に分布し、林の中などに生える。
海外では、台湾や中国の南部にも分布している。
近畿地方南部から九州にかけて随菜(ズイナ)という落葉低木が分布しているが、柊随菜(ヒイラギズイナ)はその南西諸島版である。
樹高は5~10メートルくらいである。
若い葉の縁は柊(ヒイラギ)のような鋭いぎざぎざ(鋸歯)があるというのが名の由来であるが、成木の葉はぎざぎざがなくなる(全縁)。
柊(ヒイラギ)にも成木になると同様の傾向がある。
開花時期は5~6月である。
枝先に上向きの総状花序(柄のある花が花茎に均等につく)を出し、小さな白い花びらをもつ花をたくさん咲かせる。
写真は6月に小石川植物園で撮った。
学名:Itea oldhamii


★南国の山野に白くぽっかりと
 柊随菜の花影浮かび



柊随菜(ヒイラギズイナ)


花図鑑

シベリア文目(シベリアアヤメ)


シベリア文目(シベリアアヤメ)はアヤメ科アヤメ属の多年草である。
文目(アヤメ:Iris sanguinia)とイリス・シビリカ(Iris sibirica)を交配して作られた園芸品種である。
アメリカで改良が進み、花色も花型もバラエティーに富んでいる。
英名をシベリアンアイリス(Siberian iris)という。
草丈は30~120センチくらいである。
根際から生える葉は線形である。
開花時期は5~6月である。
花径は10センチくらいある。
花の色は紫色が一般的だが、白、青、紅紫色、黄色など多彩である。
写真は6月に札幌の百合が原公園で撮った。
学名:Iris hybrida


★華やかな網目模様がよく似合う
 清楚に咲いたシベリア文目



シベリア文目(シベリアアヤメ)2


花図鑑

横倉の木(ヨコグラノキ)


横倉の木(ヨコグラノキ)はクロウメモドキ科ヨコグラノキ属の落葉高木である。
1属1種である。
ただし、クマヤナギ属に含める考え方もある。
和名の由来は、高知県の横倉山で最初に発見されたことからきている。
牧野富太郎博士によって発見され、命名された。
本州の宮城県・新潟県から九州にかけて点在し、石灰岩地帯などに生える。
海外では、朝鮮半島や中国にも分布する。
樹高は5~10メートルくらいである。
葉は楕円形で、互い違いに生える(互生)。
片側に2枚ずつつくのが特徴である。
葉の先は鋭く尖り、縁にぎざぎざ(鋸歯)はない。
開花時期は6月である。
葉の脇から集散花序(最初の花が枝先につき、その下に次々と側枝を出して花がつく)を出し、小さな黄色の花をつける。
花の後にできる実は核果(水分を多く含み中に種が1つある)で、橙色から暗い赤色に熟する。
写真は6月に小石川植物園で撮った。
学名:Berchemia berchemiifolia


★ローカルな名前が醸す雰囲気に
 なぜか安らぐ横倉の木は


横倉の木(ヨコグラノキ)2


花図鑑

アメリカ木大角豆(アメリカキササゲ)2


アメリカ木大角豆(アメリカキササゲ)はノウゼンカズラ科キササゲ属の落葉高木である。
原産地は北アメリカである。
湿気のある道端などに生える。
日本へは明治時代の末期に渡来した。
樹高は5~15メートルくらいである。
葉は幅広い卵形で、向かい合って生える(対生)。
開花時期は6~7月である。
葉の脇に円錐花序(下のほうになるほど枝分かれする回数が多く、全体をみると円錐形になる)を出し、大きな釣鐘形の花をつける。
花の色は白くて縁が縮れており、中には紫の斑点と黄色の筋が入る。
近縁種に中国原産の木大角豆(キササゲ)がある。
木大角豆(キササゲ)の名の由来は、実の形が大角豆(ササゲ)というさやごと食べる豆に似ていることからきている。
写真は6月に小石川植物園で撮った。
学名:Catalpa bignonioides


★満開の花の姿は美しく
 自然の機微にため息混じり



アメリカ木大角豆(アメリカキササゲ)


花図鑑

当帰(トウキ)2


当帰(トウキ)はセリ科シシウド属の多年草である。
本州の山地に自生し、北海道や奈良で栽培される。
草丈は50~80センチくらいである。
茎は赤紫色を帯び、毛は生えていない。
葉は3出複葉(1枚の葉が3つの小さな葉に分かれた形)で、互い違いに生える(互生)。
小葉は2つか3つに深く裂ける。
開花時期は7~9月くらいである。
茎先に複散形花序を1個出し、花径5~6ミリの白い小さな花をたくさんつける。
散形花序というのは、茎先からたくさん枝が出て、その先に1個つずつ花がつく花序のことである。
複散形花序というのは、たくさん出た枝先に小さな散形花序がつくというように散形花序が組み合わさってできている。
複散形花序は、セリ科の多くに見られる特徴である。
全株に芳香がある。
根を乾燥させたものを生薬で当帰(とうき)と言い、婦人科疾患の薬とされる。
写真は6月に小石川植物園で撮った。
学名:Angelica acutiloba


★パラソルを開いたように白い花
 土の下には恵みを秘めて


当帰(トウキ)


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