丁香花(ハシドイ)2


丁香花(ハシドイ)はモクセイ科ハシドイ属の落葉高木である。
北方領土を含む北海道から九州にかけて分布し、山地の林の中に生える。
ライラックの和名を紫丁香花(ムラサキハシドイ)というが、ハシドイ属の木の中では丁香花(ハシドイ)だけが日本に自生している。
海外では、朝鮮半島にも分布する。
樹高は5~12メートルくらいである。
樹皮は灰白色である。
葉は幅の広い卵形で、向かい合って生える(対生)。
葉の先は尖り、縁にぎざぎざ(鋸歯)はない。
開花時期は6~7月である。
枝先に大きな円錐花序(下のほうになるほど枝分かれする回数が多く、全体をみると円錐形になる)を出し、真っ白な小さな花をたくさんつける。
花径は5ミリくらいで、花冠は深く4つに裂ける。
雄しべは2本である。
花はやがて黄色味を帯び、二色が混在するかのように見える。
花には清々しい香りがある。
材は建築・器具用とされる。
写真は6月に小石川植物園で撮った。
学名:Syringa reticulata


★仄かなる香りにつられ見上げれば
 はしどいの花零れんばかり



丁香花(ハシドイ)


花図鑑

浅葱(アサツキ)2


浅葱(アサツキ)はユリ科ネギ属(アリウム属)の多年草である。
北海道から九州にかけて分布し、山地や海岸の草地に生える。
また、野菜として栽培される。
分類上は、蝦夷葱(エゾネギ)の変種とされている。
蝦夷葱(エゾネギ)にはチャイブ(Chive)とか西洋浅葱(セイヨウアサツキ)などの別名がある。
草丈は30~40センチくらいである。
葉は線形で、細い筒状をしている。
開花時期は6~7月である。
半球形で淡い紫色をした花をつける。
1つの花には内側と外側に3枚ずつの花びら(花被片)がある。
花の真ん中には6本の雄しべと1本の雌しべがある。
名の由来は、葉の色が葱(ネギ)よりも淡いことから「浅つ葱(き)」とされた。
葱(ネギ)には球根がないが浅葱(アサツキ)にはある。
俳句の季語は春である。
写真は6月に小石川植物園で撮った。
学名:Allium schoenoprasum var. foliosum


★浅葱の花は紫手毬歌
 恥じらうように風と戯れ


浅葱(アサツキ)


花図鑑

プロフュージョン


アメリカ紫式部(アメリカムラサキシキブ)はクマツヅラ科ムラサキシキブ属の落葉低木である。
原産地は北アメリカである。
プロフュージョン(Profusion)はその園芸品種である。
樹高は2~3メートルである。
葉は長い楕円形で、向かい合って生える(対生)。
開花時期は6月である。
葉の脇に集散花序(最初の花が枝先につき、その下に次々と側枝を出して花がつく)を出し、ライラック色をした小さな花をたくさんつける。
花冠は4つに裂ける。
雄しべ4本と雌しべ1本が花冠から飛び出る。
花序の様子は日本に自生する紫式部(ムラサキシキブ)よりもいかつい。
花の後にできる実は球形の核果(水分を多く含み中に種が1つある)で、紫色に熟する。
写真は6月に埼玉県花と緑の振興センターで撮った。
学名:Callicarpa bodinieri cv. Profusion


★アメリカに紫式部があったかと
 驚きながら花を観察



プロフュージョン2


花図鑑

紫雀の麻小笥(ムラサキスズメノオゴケ)2


紫雀の麻小笥(ムラサキスズメノオゴケ)はガガイモ科カモメヅル属の多年草である。
「麻小笥」というのは麻糸を積みためる鉢桶のことである。
名の由来は、果実の形を譬えたものだという。
「雀の麻小笥」というのは伊予蔓(イヨカズラ:Cynanchum japonicum)の別名である。
「伊予蔓」は発見地の名がつけられたものだが、本州、四国、九州、小笠原に分布する。
また、蔓性のものとそうではないものが混生するという。
そのためかどうかは不明だが、「雀の麻小笥」の名を提唱したのは牧野富太郎博士だそうである。
本種はその栽培品種である。
草丈は30~60センチくらいである。
茎は直立する。
葉は倒卵形で、向かい合って生える(対生)。
葉の縁にはぎざぎざ(鋸歯)はない。
開花時期は5~6月である。
葉の脇に散形花序(枝先に1つずつ花がつく)を出し、花径5~10ミリくらいの暗い紫色の花をつける。
花冠は5つに裂けて平らに開く。
花の真ん中には副冠とずい柱(雄しべ・雌しべの集まったもの)がある。
萼片は緑色で5枚である。
実は袋果(熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する)である。
写真は6月に小石川植物園で撮った。
学名:Cynanchum x purpurascens(=Vincetoxicum x purpurascens)


★謎多き花の由来を紐解いて
 仄かな明かり差し込む心地



紫雀の麻小笥(ムラサキスズメノオゴケ)


花図鑑

コルヌス・フォエミナ2


コルヌス・フォエミナはミズキ科ミズキ属の落葉低木である。
原産地は北アメリカである。
湿地や湿った林の中に生える。
樹高は3~5メートルくらいである。
葉は細長い楕円形で、向かい合って生える(対生)。
葉の先は尖り、縁にぎざぎざ(鋸歯)はない。
開花時期は5~6月である。
枝先に集散花序(最初の花が枝先につき、その下に次々と側枝を出して花がつく)を出し、緑白色の花をたくさんつける。
花の後につく実は核果(水分を多く含み中に種が1つある)で、青く熟する。
写真は5月につくば植物園で撮った。
学名:Cornus foemina


★遠くから眺めあの木は何の木と
 咲いた姿はミズキのようで



コルヌス・フォエミナ


花図鑑